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マリア

第15章 悲愁曲



和「初めっから見れるけど、見る?」



頬杖を付いたまま、二宮はニヤニヤ笑った。



「…そんなもの…っ…!!」


和「あ、そ。」



二宮はあっさりパソコンの電源を落とした。



和「これ、その筋のマニアにいくらぐらいで売れるかな?」


「えっ!?」


和「高いカメラ使ってるから画像は綺麗だし、修正はしてないし…」


「二宮…お前…!」


和「なんたってこの二人だから画が綺麗だしね?」

「……ッ!!」



悪意に満ちた笑顔の二宮の目の前にあるパソコンを持ち上げ、



床に叩きつけた。



和「あーあ、壊れちゃった。」



頬杖を付いたまま無惨な姿を晒すパソコンを見て、


二宮は大きく息を吐いた。



和「でも、コピーがあるからいいや。」


「えっ!?コピー?」


和「当たり前でしょ?何で役に立つか分かんないんだから。」



と、座っていた椅子の背もたれにかけてあったパーカーを羽織り、



スマホを手にとった。



和「あ…雅紀?ね…今から会えない?」



何事もなかったかのようにベッドに仰向けで横たわり、



電話で話し始めた。



しかも、何を思ったのか、相手は雅紀。




和「うん…うん…そう。今から…ねぇ、ダメ?」



聞いたことのない、猫なで声。



和「ホント!?じゃ、待ってる!」



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