マリア
第15章 悲愁曲
スマホを耳から離し、ベッドから起き上がる。
和「ちょっと、なに、ボケッとつっ立ってんの?聞いてたでしょ?」
「…どうするつもりなんだ?」
和「何が?」
手の中にあるメモリを見ながら、ああ、と呟く。
和「言ったでしょ?保険だって?」
「保険…?」
和「何かあった時のための…」
いる?と、メモリを俺の目の前にちらつかせる。
和「…こんなん持ってんだけど、って、大野さんにちらつかせたら、大野さん、アンタの言うこと何でも聞いてくれんじゃないの?」
「二宮っ!!」
あげる、と、俺に向けて放り投げた。
和「まだ、コピーはとってあるから。」
二宮はよっこらしょ、と立ち上がり、クローゼットからバスタオルやら着替えやらを取り出した。
和「ねぇ、いつまで居座る気?もうすぐ俺のカレシが来るんだけど?」
「…寄越せ。」
和「は?」
「コピーしたやつも含めて全部寄越せ。」
和「ただで?冗談でしょ?」
「お前が持ってても得することなんてないだろが!!」
和「…だから、って、タダじゃあげらんない。」
「まさか…金…とか?」
二宮は、うーんと腕組みをしながら部屋中を歩き回った。
和「うーん、お金…欲しいけど、それより…」
二宮は、いいことを思い付いた、とばかりに込み上げる笑いを手で口の中へ押し込んだ。
和「じゃあ、アンタと大野さんがセックスしてる画が欲しい。」