マリア
第3章 間奏曲
智「翔くん。」
「ん?」
智「ありがとね?」
「どうしたんだよ?急に?」
智「だって、毎日礼音に会いに来てくれるから。」
「あ…ああ、そんなこと…。」
まさか、智に会うための口実だ、なんてとても言えるはずもなく、
俺は言葉を濁した。
そんなある日、俺はいつものように礼音を見舞い、
智と肩を並べて病院を出た。
しばらく歩くと、不意に後ろから誰かに肩を叩かれる。
振り向くと、そこには意味深に笑う雅紀と、
その、雅紀のスマホで見た色白の男が肩を組んで立っていた。
雅「あ〜!やっぱり翔ちゃんじゃん!?」
「まっ、雅紀…?」
咄嗟に雅紀の目から智を隠すように智の前に立ちはだかる。
雅「んー?その子は?」
「…な、何でもない。」
雅「何でもなくないでしょ?」
智も、何かしら違和感を感じるのか、
覗き込もうとしてくる雅紀の目を避けるように、俺の背中にしがみついてきた。
雅「あっ!?分かった!!彼、あのコでしょ?ほら、双子の…」
「ちょっと…。」
そこまで言いかけた雅紀の腕を引き、
智に俺たちの話を絶対に聞かれない場所まで連れていった。