マリア
第3章 間奏曲
雅「いーじゃん、紹介してくれたって〜!」
「…冗談だろ?アイツはお前とは違うんだよ!?」
雅「へぇ…どう違うんだろ?」
声色が変わると同時に、雅紀は俺の手を振りほどいた。
雅「あの片割れくん、確かに俺らと違って純粋培養されてるみたいだけど…」
雅紀の口元が歪む。
雅「…案外、鍛え甲斐、あるんじゃないの?」
「どういう意味だよ!?」
俺の抗議の声など聞こえない、といった体で雅紀は遠くの二人を見た。
雅「カズ…あ、あの、俺と一緒にいたヤツだけど、アイツだって、至ってフツーのヤツだからね?」
振り向くと、その『カズ』って男が智と何やら言葉を交わしている様子だった。
雅「ふふっ。あの二人、もう意気投合してるじゃん?」
智とそのカズ、って男は決して談笑しているようには見えなかったけど、
普通に会話はしているようには見えた。
雅「んじゃ、俺、もう行くね?」
雅紀は俺に背を向け片手を振りながら二人の元へと戻ってゆく。
「ちょっ…待っ…」
雅「翔ちゃんもさ、いつまでもいい子ぶってないで素直になったら?」
「どういうことだよ!?」
雅「まんまの意味だけど?」
ポケットに手を突っ込み、小走りで智とカズの元へゆく雅紀のあとに続いた。