マリア
第18章 虚偽曲 ①
また、機械的な女の人の声で電源が入っていない、って、言われんだろうな?とか思いながら耳に当てると、予想に反して呼び出し音が聞こえてきた。
が…それもしばらくの間だけで途切れてしまった。
…ん?切られた…?
…って…でも、二宮本人が…!?
だとしたらなぜ?
もしかしたら……
二宮の側にいる誰かが、
その誰かが二宮が意図的に外部と接触させないようにしているのかも……?
智「誰に電話してるの?」
いつの間にか、背後に立っていた智にビックリしてスマホを落としてしまう。
「あ……」
智は持っていた皿をローテーブルに置き、俺のスマホを拾った。
智「はい。」
「あ、ありが…と。」
智「食べよっか?」
智は箱からケーキを取りだし、皿にのせて俺の目の前に置いた。
智「コーヒー、冷めちゃうじゃん?」
「そう…だね?」
智に促されるままケーキにかぶり付く。
智「ん!!翔くんのお母さんのケーキ、美味しい!」
智は口の端についたくずまでも口の中に放り込んだ。
「よかった。お袋、喜ぶよ?」
視線を感じてふと、智を見やると、俺の顔をじっと見つめる智と目が合った。