マリア
第19章 虚偽曲②
智「ふふっ。翔くんてば、僕をどうするつもりなの?」
身体中に付けられた赤いアザを見て、智は面白そうに笑った。
「どこから見ても俺のものだ、って分かるように印付けたんだ。」
上向いたまま鼻で笑った。
智「小学生みたい。」
「何でだよ!?」
智を見下ろすように、体を起こした。
智「だって、学校に持ってくもの全部に名前書いていくじゃない?」
「…それもそうだな?」
智「自分のものだ、って誰が見ても分かるように…。」
そう、呟くように言った智の唇にキスをした。
「戻るなら今のうちだよ?」
智「え……?」
「今だったら、あの人のところに戻れるよ?」
智「…どうしたの?急に?」
「後悔……してないかな、と思って?」
視線を逸らすと、智は一つまばたきをしてからぽつり呟いた。
智「…してるように見えるかな?」
「見える、ってわけじゃないんだけど……」
智「じゃあ、戻りたい、って言ったら…翔くんはどうするの?」
「そうだな…」
智の胸元に唇を押し合て チュ、と吸い上げると、
智は、小さく、あ、と呻いた。
「行かせないように智くんを殺して俺も死ぬ。」