マリア
第19章 虚偽曲②
智「それ、事件じゃない?」
「事件だよな?」
笑いごとじゃないのに、笑ってしまう。
智「…いいよ?それでも。」
「冗談だって!?マジでとらなくていいから。」
智「何だ…冗談だったんだ…。」
「え………?」
艶然と微笑みながら、智が俺に向かって手を伸ばす。
智「きて……翔くん。」
「智……。」
誘われるまま、乞われるまま、智の唇にキスをする。
何度も何度も、智の存在を確かめるみたいにキスをする。
首筋に顔を埋めて智の匂いを確かめる。
「キツかったら言って?」
智「ん……。」
壊れそうな宝物を扱うように智の入り口を指先でそっと馴らしてゆく。
その場所はすべてを拒むように固くて、
一度侵入を赦したなら、離すまいと締め付けた。
智「あっ……っん」
指先を何度か出し入れしているうちに、智の細い体が跳ね上がる。
数回繰り返すと、
か細いけど、艶のある声で何度も啼いた。
智「っ……しょう…くん……」
早く、と、智の唇が音もなく動く。
反り返った智の屹立からはドロリとした液体が滴り落ちていて、
その雫は、智の後孔をも濡らしていた。