マリア
第20章 奸計曲
雅紀side
「え………?」
智「ふふっ。だから、二宮くんとヨリを戻したい、でしょ?」
「そっ…そりゃ…」
大野くんの綺麗な指先が、
俺の手に重なる。
「でも…それ、って…犯罪じゃ…」
智「じゃあ、相葉くんが僕にしたことは犯罪じゃないの?」
「う……」
ぐうの音も出ない。
智「僕は別に相葉くんとエッチしたかったわけじゃないよ?なのに、無理矢理…」
「すっ…すいません。ホッントにごめんなさい!!」
ベンチから降り、俺は、地面に頭を擦り付けるようにして謝った。
智「でも、許してあげる、って言ってるじゃない?」
平然と中華まんにパクつく大野くんを見上げた。
智「僕のお願いを聞いてくれたら…。」
と、ふと、遠くを見る大野くんの目線を辿ってゆく。
智「でなきゃ、僕があそこに駆け込んでも文句は言えないんだよ?」
その先には、交番が。
「分かっ……た。」
智「じゃあ、また、電話するね?」
袋をくしゃくしゃと丸めて屑籠に捨てた。
智「よかった。相葉くんが聞き分けてくれて?」
振り返り、俺を見て天使が笑う。
その背中に、黒い翼を持つ天使が。