マリア
第20章 奸計曲
和也side
「う……」
急激な目眩を覚え、払拭するみたいに頭をぶんぶん振る。
目が覚めた時、辺りは薄暗くて、
肌に、直に冷気が当たっているという違和感に、一気に現実に引き戻される。
俺……何で…っ!?
体を動かそうとすると、
利き腕の手首が固定されていて自由がきかない。
加えて、シャツ一枚、素肌に羽織っているだけ、という違和感。
え…これ、って…もしかして監禁?
「………。」
薄暗い部屋の中を見回す。
この部屋は確か、雅紀に話があるからと連絡したときに指定された部屋。
俺にも関係した話だとかいうから、
雅紀から根掘り葉掘り聞いてやろう、と息巻いていたまではよかったが、
何だかんだで核心には全く触れず、
いよいよイライラしてきた時、急に眠くなってきて……
あ……あの、スポーツドリンク!!
くそ寒い真冬に、温かいコーヒーが出てくるもんだと思い込んでいたら、
雅紀のやつ、よく冷えたスポーツドリンクなんぞを出してきやがった。
まあ、部屋の中は暖房が効いてたからいいか、と思いながら飲み干してしまったけど。
その、後だった。
意識を失う前と後の俺の記憶が、
全く、繋がらなくなったのは。