マリア
第20章 奸計曲
思わず口に出してしまった言葉に、カズの動きが止まる。
和「俺に関係した話、って、どういうこと?」
しまった!!つい…。
ばつが悪くなって、顔を逸らす。
カズは、せっかく履いたスニーカーを脱ぎ、さっきの場所に座った。
和「お茶、出してくれないの?」
「え?」
和「聞いてやる、ってんの。アンタの話。俺にも関係してる、っていう。」
「あっ…ああ、ちょ、ちょっと待って?」
思いがけない展開にテンパりつつも、
俺は、カップを用意し、戸棚にあるであろう、インスタントコーヒーを探した。
ない…。
仕方ないので、冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出し、カップに注いだ。
そして、何気にズボンのポケットに手を入れると、何かが俺の手に触れた。
ビニール袋に入った、
白い、錠剤。
「………。」
『よかったらこれ飲んでみて?ぐっすり眠れるよ?』
『この薬、効き目が強すぎて犯罪に使われることがあるからアメリカじゃ出回ってないんだって。』
『一度試してみなよ?』
カズ、ごめん…。
でも、もとはと言えば君が悪いんだよ?
俺だけにしとけば、こんなもの飲まずにすんだんだから…。
俺は、そいつを一粒、
カップの中に静かに落とした。