マリア
第20章 奸計曲
智「もうすぐ母さんが帰ってくるから…」
「ダメ…ってこと?」
てっきり拒絶の言葉が出てくるのか、と思いきや、
包み込むような微笑と共に、
智の手が俺に向かって伸ばされる。
智「いいよ?翔……きて?」
俺に向かって伸ばされた手が、俺を引き寄せキスをする。
俺は、智の体を抱き起こし、
目を白黒させている智の体を俺の膝の上に乗せた。
「智の好きなように動いて?」
智「え…?」
俺の顔をしばらくきょとんと見つめていた智だけど、
その、言葉の意味を知るや、顔を真っ赤にした。
それでも、
俺の肩に捕まりながら体の位置を調整した。
そして、自分の納得する位置になったのか、
智は俺の顔をしばらくじっと見つめていた。
そして、何度か唇にキスした後、俺の両肩に手を置き、ゆっくり腰を下ろしてゆく。
目をぎゅっと閉じ、あ、と、小さく智が声をあげた。
でも、顔を赤らめ恥ずかしそうに素早く視線をそらした。
それでも、何度か腰を上下させているうち、いい場所を探り当てたのか、
上下だけでなく、左右に揺れはじめた。
「くっ……ヤバ…」
智のその、食い締める加減だとか位置だとかが絶妙過ぎて、
思わず俺まで声をあげそうになってしまった。