マリア
第21章 序曲 ②
二宮が忽然と姿を消してからしばらく、
どこからの情報かは知らないけど、二宮は転校したらしいとの噂がまことしやかに流れていた。
かと、思えば、退学したとか、言うヤツも。
だから、実際のところ、どうなっているのかが全く分からなくて、
もしかしたら、二宮の実兄である松本先生ならと思うけど、
でも、本人に聞くにしたって、
智と綺麗に切れてなかったら、との思いから中々聞き出せないでいた。
そんなバレンタインデーも間近に迫ったある日、
本命チョコと、プレゼントを見繕って欲しいと、妹にせがまれ、
デパートにやって来ていた。
「んー?どれがいいかなあ?」
妹のやつが迷っているのはマフラー。
俺がいつも着けている真っ赤なマフラーがカッコいいから、との理由らしい。
そりゃそうだろ!?智の見立てなんだから。
と、ちょっと得意になっていると、
「んー?でも、お兄ちゃんにはちょっと勿体ないかも?」
なーんてぬかしやがった。
「だって、これ、絶対高いよ?どんな人からもらったの?」
と、追求されてしまった。
答えに窮した俺は思わず、
「俺のファンだよ!?」って、力説してしまってた。
とーぜん、妹からは、
白い目で見られたのは言うまでもないけど…。