マリア
第22章 遁走曲
雅紀side
学校が終わると、俺は人目を避けるように校舎を出て、
コンビニへ立ち寄り彼の好きなものを買い、
彼に会いに行く。
「ただいま、カズ。」
するとカズはベッドに横たわったまま俺に笑いかけ、
俺が買ってきたものを口に運んでやると喜んで食べてくれる。
「おいしかった?」
すると、カズからの「おいしかったよ。」と、言う言葉のかわりのキスをしてもらう。
俺も、また、そんなカズが愛おしくなって抱きしめる。
俺の世界の中にカズがいて、
カズの世界の中に俺がいる。
幸せすぎて俺は有頂天になっていたんだ。
「ありがとう。俺、君になんて言ったらいいのか…」
智『うふふ。僕は何もしてないよ?』
「でも、背中押してくれたじゃん?」
智『だって…指咥えてみてるだけじゃ、欲しいものなんて一生手に入らないじゃん?』
「ありがとう。……ほんとごめんね?あんな酷いことした上に親切にしてもらっちゃって…」
本当に、この時は本当にそう思ってた。
この日が来るまでは…。