マリア
第4章 輪舞曲
病院を出てすぐ、俺のスマホが鳴る。
「………。」
…サルか。
雅『あっ!?カズ?良かったぁ〜♪やっと捕まった!』
「どうしたの?」
聞くまでもない、と思うけど一応…。
雅『今日さぁ、時間ある?』
コイツがこんな聞き方をする時は、決まってヤりたくなった時だ。
雅『今から会えないかなー?と思って?』
やれやれ。まーた、サカリがついてんのか。
俺はお前の肉便器じゃねぇ、っつーの。
「…いいよ?」
雅『ホント?』
「ウチに来る?」
雅『うん。行く行く♪』
ハァー…。
アイツのエッチ、全然気持ちよくないんだよなあ。
ただ、突っ込んできて、吐き出して、
自分だけスッキリしてやがるから。
あんなサルみたいなヤツでもヤらせてくれる女がいる、ってんだから、
世の中ホントに分かんねぇよ。
と、腹ん中で毒づきながら、
信号が変わるのを待った。
「………。」
俺の母親は、俺が小学生の時に死んだ。
赤信号で交差点に進入してきた車と、俺の母親が運転する車と正面からぶつかって…
即死だった。