マリア
第4章 輪舞曲
潤「和也くん。もし…俺に出来ることがあったら…その…何でも言って欲しいんだ。」
は……?
その人は、俺の肩を両手でしっかり抱きしめながら優しく語りかけてきたんだ。
今さら?
母さんがいない今、それを俺に言う?
バカなのかよ!?アンタ!?
てか、アンタら親子は揃いも揃ってバカなのかよ!?
「じゃあ…返して。」
潤「え…?」
「母さんを返して。」
潤「いや…君のお母さんはもう…」
「何でも、って言ってたじゃない?」
…ほら、困ってんじゃん!?
潤「し、しかし…」
「…人殺し。」
優しく差し伸べられた手を乱暴に振り払った。
「アンタたちが寄って集って母さんを殺したんだ!!」
潤「和也くん…。」
「…気安く呼ぶな。」
騒ぎを聞き付けたばあさんが、茶の間の襖を開けた。
「帰れ!!二度と俺の前に現れんな!!」
掴みかからんばかりに暴れる俺を青ざめた顔で見ていた、
アイツのことは今でも覚えてる。
それでもアイツは懲りてないのか、本物のバカなのかは知らないけど、
足しげく俺に会いに来ては追い返されていた。
それでも、心のどこかで俺が自分に心を開いてくれることを期待しているのか、
何か、あったらと、
連絡先を書いたメモまで置いていった。