マリア
第6章 練習曲
「そんな…」
礼「でも、翔くんは智の友達だから、仲直りしたかったらすればいいじゃない?」
「だから、そんな簡単な話じゃないんだってば!!」
「どうしたの?智、大きな声だして?」
友達と食事に行っていた母さんが戻ってきて、
礼音の部屋から僕の大声が聞こえてきたものだから、礼音の部屋を覗き込んできた。
「あっ…礼音!!」
前のめりにシーツに顔を埋める礼音を見て、
顔色を変えた母さんが駆け寄る。
「智!!薬…薬は!?」
礼「へ……いき。さっき飲んだから。」
「何言ってるの?真っ青じゃないの!?」
母さんがベッドサイドに置かれたままの礼音の薬を手に取ると、
礼音は母さんの手を力一杯払った。
「あ、礼音!!何するの!!」
母さんの手の中の薬がバラバラと床にこぼれ落ちる。
礼「もう…放っといてよっ…っ!!」
咄嗟に胸を押さえた礼音の体がベッドから転げ落ちた。
「アヤッ!!」
「礼音!!」
礼音は……
その日のうちにまた、病院に戻ることになってしまった。