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マリア

第6章 練習曲



和「俺、多分、すぐ呼ばれると思うんで、そん時に一緒に先生に話聞いてもらうといいよ?」


「あ、あの…」


和「言ったでしょ?俺、情緒不安定なの。」



僕の顔も見ずに二宮くんは答えた。



和「それに、俺には特別に優しい先生だから…。」



それからほどなく、二宮くんの言う通り、



二番の診察室の電光掲示板に番号が点灯した。



カーテンが開いて、


顔を覗かせたナースが二宮くんに向けて、どうぞ、と軽く頭を下げた。



和「んじゃ、ちょっとここで待ってて?先生と話してくるから。」



ゲーム機を仕舞いながら二宮くんは診察室に入っていった。



そうして、二宮くんの言う通り、



彼は十分かかったかかからないぐらいの早さで診察室から出てきた。



和「お待たせ。話、聞いてあげる、って?」


「でも…」


和「ほら、早く!次の患者さん、三十分後に来るからその間だったら、って言ってたし。」


「う…うん。」



二宮くんは僕の手を診察室の前まで引っ張っていってカーテンを勢いよく開けた。



潤「君は…」


「松本先生…?」


和「おや、ひょっとしてもう、顔見知り?」



二宮くんは松本先生と僕の顔を見比べるように交互に見た。


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