マリア
第6章 練習曲
二宮くんは待合室の椅子に腰かけ、ゲームをしながら僕が出てくるのを待っていてくれた。
和「解決しました?」
「え?何が?」
和「何が、って…?悩み、聞いてもらったんでしょ?」
「まだ、聞いてもらってた途中だったから…。」
和「に、しては嬉しそうな顔してましたけど?」
「えっ!?あ、そ、そう?」
急に挙動不審になる僕を見て、二宮くんはため息をついた。
和「ま…いいけど。それより、このあと時間ある?」
「え?ま、まあ…」
和「何か食べに行かない?俺、奢りますよ。」
と、ゲーム機を手に持ったまま立ち上がった。
「でも…。」
和「あ、そっか。妹ちゃんのとこ行かなきゃなんないか。」
「ううん。行く!行くよ!!」
和「じゃ、決まりね?何食べたい?」
「甘いものがいいかなあ?」
和「おや、気が合いますね?俺もちょうど食いたい、って思ってたとこなんですよ?」
「行こっか?」
礼音のことが気にならない訳じゃなかったけど、
なかなか足が向かない気まずさから僕は、
二宮くんの誘いにのることにした。