同窓会 SN
第4章 10年ぶりのアイツ3 翔
3-2
こんな生活が始まって ようやく一ヶ月が経とうとしていた。
コイツとは まだまだ落ちつく、と言う感じではなく、
ドキドキにも似た高揚感がある。
新婚生活みたいだ、と自分の想像がおかしくなるけど、仕方ない。
ここに向かうときはいつも はやく和也に会いたい、と足早になってしまうんだ。
もっとも、コイツがどう思っているかは よくわからない。
いつも笑顔で俺を迎えてくれるから、
多分嫌がってはいないと思うんだけど、
もしかしたら 生活のために
雇い主である俺の機嫌を損ねないようにしてるだけかも知れない。
そういえば、俺はまだちゃんと 和也の気持ちを聞いたことがなかったな。
「俺のこと好き?」と聞けば 「好き」だと言う言葉を聞かせてくれるのかもしれないけど、それが本心なのか、俺を気持ちよくさせるためのリップサービスなのか、俺には見抜く自信が無い。
これが仕事の上の駆け引きなら、相手が誰であろうと
何かをごまかそうとしているかどうかなんて
即座に見抜けると断言できるのに。