同窓会 SN
第55章 痕跡1 和也
そうして俺は
早朝一人でそっとホテルを抜け出した。
どこへ行こう、と考えた時に
一番最初に浮かんだのは 桑名さんの葬儀の場所
こんな格好だし、参列できるはずもないとは思うけど それでも近くまで行けたら、と思った。
大阪市内の葬儀を調べてみたけど、
そっちからはわからなかった
家族葬なんかだと 敢えて載せないように
してるのかもしれない。
それでもあきらめずに調べていると
桑名さんの生前のブログにヒットし
そこに 奥さんが挨拶文を載せているのを
見つけることが出来た
きっとIT業界では名の知れた人だったんだろう
何人かの書き込みも見られ、葬儀の場所と時間も一応書かれてはいるものの
参列や香典に関しては「家族だけで送るつもりです」「どうかお気遣い頂きませんように」と丁寧な辞退の言葉も添えられていた
行けばどうにかなる、ってワケじゃ無い事は
わかってる
それでも、行かないことには気が収まらない
胸の中に強い風が吹いて、俺の心は落ち着かない
このままじゃ 翔と一緒に居られない程に
気持ちがざわざわして
右を見ればいいのか 左を見るべきなのかも
わからないんだ