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好き心少なからず

第15章 お弁当~八神×岸田~

「いただきます」

先生は手を合わせると、最初に卵焼きに箸をつけた。

「あ、出汁巻きだ。旨い」

その言葉に、心の中でガッツポーズをとる。

やった!

一番の自信作だもん。

それを褒めてもらえて、朝五時起きが報われた気分だった。

だけど、それを悟られないように感情を抑えると

「私も食べよっと」

何気ない振りをして、自分のお弁当に手を付けた。

しん…と静まり返った準備室の中で、ご飯を食べる音だけがしている。

これはこれで…結構、気まずい。

アスパラの豚肉巻きを半分齧ると、先生を見た。

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