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好き心少なからず

第31章 球技大会5(姉ヶ崎)

その声を聞いた途端、胸がツキンと痛んだ。

普段から『恭博』って呼ばれてるのかな。

商業科はクラス毎に専門が違うから、3年間クラス替え無しの持ち上がりだもんね。

仲良くなっても当然…だけど。

何か…面白く、ない。

「恭博、頑張って」

女の子たちと同じ言葉を口の中で呟いてみる。

でも、呟くだけで…声には出せない。

初めて呼んだ田口くんの名前は、とても甘くて、心臓の鼓動が早くなるのが実感できる、魔法の呪文のよう。

息を詰めて田口くんを見つめる。

笛の合図の後で、田口くんがボールを宙へ上げた。

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