テキストサイズ

好き心少なからず

第32章 球技大会6(田口)

だけど姉ヶ崎さんは眉を寄せて心細そうな表情をしていて…

「じゃあ…はい」

両方の手のひらを向けて出すと、姉ヶ崎さんはキョトンと僕を見上げた。

「ハイタッチ。叩いて」

「え?」

「勝利のお裾分け」

こんなんで分け与えられるものじゃないだろうけど。

それでも、少しでも気持ちが解れたらいい。

「あ…」

おずおずと差し出された手が打ち鳴らした音は、響くような勢いはなかった。

でも、それより…

「手、冷たい」

「あ、ごめんなさい!!」

慌てて手を隠そうとするから、姉ヶ崎さんの手を掴む。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ