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好き心少なからず

第33章 球技大会7(新田)

別に断る理由もないし、一緒にテニス場へ向かうと

「ね、新田くん。こっち」

急に絢音に手招きされる。

「え?」

「近道。知らないの?」

まさかそんな訳ないよね?

そう言いたげな顔で聞かれて、知らないなんて言えなくて。

絢音に連れられるまま、武道場の裏を通って体育倉庫の脇に出た。

歩きながら、頭の中の地図を拡げる。

近道?

僕の前を歩く絢音の足取りは確かなものにみえる。

だけど…余計遠くなってないか?

「絢音」

呼び掛ければ、足を止めてくるりと振り返る。

微笑む表情はいつも通りだけど…

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