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好き心少なからず

第6章 読書タイム~栗原×速水~

「栗原くん、一応図書館だから」

苦笑いをうかべた橘さんが、壁のポスターを指差す。

そこには『図書館ではお静かに』の文字が…

慌てて口を押さえると、彼女がくくっと笑った。

あ。

声を抑えないで笑ってる姿、初めて見たかも。

「明治時代の話で、取っつきにくいかと思ったけど、読んだら面白くて。続きが気になって仕方なかったんです」

彼女は笑いを止めると、俺を真っ直ぐに見た。

うわ。

正面から見ると、猫みたいにアーチをえがいた目に吸い込まれそうになる。

ドキドキと心臓が高鳴っていくのを自覚した。

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