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君を愛してる~十年越しの想い~

第1章 君を愛してる~十年越しの想い~

        ***

 二ヵ月半後、赤色で黒のリボンがついたワンピースを着て、ゆる巻きヘアーをして、赤のベロア生地のヒールを履いて結婚式の会場に行った。抄華は白のマーメイドドレスを着ている。この日のためにダイエットと美容に励んだという。その姿は世界中のどの花嫁よりも美しい。

「ちょっとぉ、由里、相変わらず可愛すぎ! 花嫁より目立たないでよ~」

「そんなことないって」

 あの頃と何も変わらない二人。変わったのは、ゴテゴテの足し算コーデだけじゃなくて、ナチュラルガーリーな引き算コーデも出来るようになったってこと。気持ちを伝えた今、見透かされることに怖さを感じなくなった。可愛いものは大好きだけれど、一つのモノを輝かせることを覚えた。いつもブローチにしていたうさぎーヌさんは本来の役割であるバックチャームとして微笑んでいる。

「ほらいくよーほいっ!」

 ブーケトス。私の手の中にすっぽりと納まる花束。歓声と拍手。

 十年越しに言うことができた誰にも秘密の気持ち。あの瞬間、心の中で凍った気持ちがすぅーっと解けていくのが分かった。やっと伝えることができた。だから私は、ここから前に進むことができる。抄華の幸せに心からの祝福を――。

                   Fin.

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