両親の部屋を盗撮したらとんでもない秘密を……。
第1章 プロローグ
たとえ殴られようと、プライドを傷つけられようと、自分だけならどうなってもいい。
そんな自虐的なことをいつも考えていた。
イジメ問題がメディアに取り上げられるたびに、無責任なコメンテーターが"日頃からもっと家族が話し合っていれば"なんて知ったら顔で言う。けれど、そんなの無理に決まってる。
だって、弱い自分を親に見せたくないし、よけいな心配をかけたくない。
ましてや、僕にとって、母親はぜったい他人に汚されたくない神聖な存在だ。
いやだ!
と、喉元まで出かかった言葉を、僕はゴクリと飲み込んでしまった。
情けない…
【い・や・だ】たったこの3文字が言えないなんて…