両親の部屋を盗撮したらとんでもない秘密を……。
第1章 プロローグ
「早く食べないと遅刻しちゃうわよ」
「せめてノックでもしてくれたら寝坊しなかったのに…」
「だって…」
「わかってるよ。"たとえ親子であろうと個人のプライバシーは大切にする"それがうちのルールだもんね」
翌朝、僕はパンを持ったまま、母さんの言葉を遮るように言った。
「そう、正解」
母さんは、栗色の大きな瞳をゆらゆら揺らしながら、イタズラっ子のような笑みを浮かべて呟いた。
この宝石みたいな美しい瞳と、ソフトクリームみたいな白い肌を、ナイフでズタズタに切り刻めたら最高だろうな…
「うぐっ、」
「どうしたの?」
「べっ、べつに」
妄想から脱した僕は慌てて股間を押さえた。
息子である僕が言うのも変だけど、母さんはスタイルもいいし、めちゃくちゃ美人だ。
しかも、15歳のときに僕を産んでいるから、まだ31歳という若さだ。
もし僕がノーマルな人間だったら、とっくに押し倒して犯してるだろう。←どこがノーマルやねん!っていう突っ込みはいらない…
それに引きかえ父さんは、"チビ、ハゲ、デブ"という三拍子そろったブサイク中年だ。
なんで母さんは父さんなんかと結婚したんだろう?
ていうか、あんなブサメンとよくSEXできたな。
キモッ…
「ところで、まだ父さん寝てんの?」
「そうよ、朝方までお仕事してるから仕方ないでしょ」
朝方まで仕事って、いったい父さんは何の仕事をしてんだよ…と、思っても、決して僕は口に出さない。
いや、正確に言うと、口に出したことはある。それも数え切れないくらい何度も。だけど無駄だ。ぜったい教えてくれない。
なぜなら、それが黒木家のルールだから。
「ごちそうさま」
「はーい、気をつけて行ってらっしゃい。それと、お留守番もお願いね」
僕は返事をする代わりに、コクリと大きくうなずいた。
くっくっくっくっくっくっくっくっくっくっ
心の中で、歓喜のダンスを踊りながら……。