両親の部屋を盗撮したらとんでもない秘密を……。
第1章 プロローグ
「カメラの電源は照明の配線から取るとして…見つからないようにレンズを取り付けるのが大変だなあ…」
僕は天井裏で黙々と隠しカメラの設置作業をしながら、数日前のある出来事を思い浮かべていた。
***
そこはとても薄暗くカビ臭い、氷のように冷たい部屋。
あの日の放課後。僕は用具室にいた。
「いち、にい、さん、しい…」
僕の頭上から聞こえてくる、ロボットみたいな口調で無機質に数をカウントする声。
僕は震えながら黙って床を見つめる。
冷たい汗が頬を伝ってポタリと落ちた。
僕にとってその声は、黒板を爪で引っ掻いたみたいな不快な音だ。
「……ん?」
人間椅子と化した僕の背中の上で、ドカリと腰をかけ、無表情で1000円札を数えていた同級生の"竹中"の声が、いきなり途中でピタリと止まった。
それプラス――僕の心臓も止まりそうだった。