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赤い鴉

第4章 sunny

迅は知っていること全てを大河に話す。
「そうか…いや、面倒事に巻き込んですまない、今日はここに泊まって行ってくれ」
「あ、ありがとうございます」
迅は風呂場を借りる。広めの風呂場、ガラス越しで見える夜景が綺麗。自分が住んでるアパートとは比べ物にならないなと迅は思う。
軽く身体を洗うと着替えが用意されていた、タケルのサイズより大きめのシャツに着替える。
迅はなんとなくタケルの部屋に入る。
「綾瀬?」
ベッドで寝ているタケルにそっと近付く。迅はじっとタケルの顔を見つめる。
(綾瀬って綺麗な顔しているな)
タケルが昔 誘拐にあったことを大河から訊いた迅、こんな綺麗な顔をしているタケルを誘拐犯がどんな風に扱ったか想像に難くない。
(守ってやらないとな)
迅がそう決意するとタケルの瞼が開く。
「んっ…」
「あっ…起こしてしまったか?」
「あ…れ…九条?」
なんで迅がいるのか分からず目をキョロキョロさせるタケル。その仕草に迅は可愛いなと苦笑する。
「く、九条!?大丈夫!?」
「大丈夫だよ、タケルこそ大丈夫か?」
「大丈…ぶ!?」
タケルは起き上がろうとした瞬間、腰を押さえ蹲る。
「大丈夫じゃないだろ?大人しくしてろ」
迅はタケルをベッドに押し戻す。
「九条はどこで寝るんだ?」
「僕は適当にソファーで寝るつもり」
仕事で疲れているであろう大河をソファーで眠らせるのほど迅は図太くない。
「……俺がソファーで寝るよ」
「ダメだ」
レイプされてボロボロのタケルをソファーで休ませるわけにはいかない。
「じゃ、じゃあ俺のベッドに入る?」
恐る恐る云うタケル。迅はため息を吐く。
「大丈夫?」
「大丈夫だよ」
怯えながらも頷いたタケルを見て迅はベッドの中に入る。
「綾瀬?」
タケルが背を向けて寝ている迅の服を掴む。その手が震えてることに気付く。
「本当に大丈夫か?」
迅の背中にタケルは顔を埋める。
「大丈夫…」
名残惜しそうに迅の背中から離れるタケル。迅はもう1度ため息を吐いた。

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