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すきってきもち

第2章 もう一歩





たった5分が30分に、10分が1時間に感じる

理由なんてただひとつ
帰ったと分かりきったことなのに
気がかりで、スッピンのまま
あとで片付けようと思ってた一昨日の仕事着に
急いで着替えて家の鍵ダケ持って
会社に急いだ


「なんで、方向音痴なのよーっ!」

電車を降りて土砂降りの中
急ぎすぎて靴は昨日脱ぎぱっなしのヒールで走る


家から直接カフェにいけない私は
会社からいつも歩く道じゃないといけない

靴擦れが痛いのもお構いなしに
とにかく走る


「間に合わなかった……はぁハァハァ」


closeの文字
彼の心も閉ざされてしまった気がして

雨に打たれながら涙が溢れてきた


シャワーを浴びたみたいに濡れて
涙も雨も分からない

うそ
涙は温かく余計悲しくなった



もう少し早く来てたら……っ


駅まで戻ってきたけど
こんな姿で電車に乗るのは
他の人の迷惑になる

今さら傘を買ったって意味ないし


家まで1時間弱
雨に打たれながら帰った


きっと傷つけた……心配してくれてたのに

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