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すきってきもち

第3章 後ずさり





次はスケジュール見直す
広報へのメールと確定したスケジュールを
照らし合わせる

あれ?モデルさんのフィッティング日が
噛み合ってない!

広報のリーダー、歩菜さんに報告しないと

「うっわ!マジだ
百合さん手伝って、予定組み直す!!」

「分かりました」

トラブルに焦ることなく
一つ一つしっかり確認して直していく
私への指示も的確かつ、分かりやすく

私より長く働いてるとはいえ、
全てが違う

トラブルはそりゃ総務でもあったけど
こんな風には対応できなかった

自分のダメさ加減を実感しながら
歩菜さんに引っ張られるまま

ふたり並んで2時間
解決させた



「おわったー!!!」

「お疲れ様です、コーヒーどうぞ」


「ありがと、気が利く~」
歩菜さんは多忙なはずなのに
髪も爪にも気を使っていて……素敵

「気付いてくれて良かったわ~」
「解決してよかったです……」



じろじろ見てくるから気になる
「なんでしょう?何か変でしょうか」

夜の7時だというのに化粧崩れなし
潤った唇を動かす

「自分は仕事の鏡だと思うんだよね」
「は、、い?」

「とりあえず帰るわ、ダーリンが待ってるの」
「はぁ、、お疲れ様でした」
「また明日~」

自分は仕事の鏡??
どういう意味だろう……

考えながら帰る準備して
会社帰りたまに行く
お店に向かいながら考えて

考えて
考えて
考えてたら……迷った

「ここどこ?」

はぁ……私って何なんだろう
行きたい場所にすら行けないなんて

みんなからしてみれば
簡単に行ける道なのに場所なのに

右に行けば、左に行けばいいのかも
分からない

前がどこにあるのかも
全く分からない

この歳になっても
迷子を繰り返す

こんな私って……本当に情けない

「なに言われたって仕方ないのに……」
それでも"社長の娘"という目は
重く冷たく、、、

私に泣く資格なんてない

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