
原稿用紙でラブレター
第3章 消費期限は本日中
この体の火照りはシャワーを浴びたからだけじゃない。
さっきから全く落ち着かない心臓と、この先のことを思うだけで熱くなってくる正直な体。
まさか…
ほんとににのちゃんがプレゼントだなんて…
微かに聞こえてくるシャワーの音に、居ても立ってもいられずにソファから立ち上がる。
喉もカラカラで、勝手に冷蔵庫を開けるのは忍びないと思いつつもキッチンへと足を進めると。
ローテーブルに置いていたスマホが軽い音を立てた。
静かに冷蔵庫を開けてお茶のボトルを取り出し、コップを持ってテーブルへ戻る。
画面には翔ちゃんからの新着メッセージ。
まさかクリスマスデートを見せつけられんじゃないだろうな、なんて思いながらスワイプすれば。
『よぉ雅紀ー!
誕生日楽しんでるかー?
そろそろあれが役立つ頃じゃねえかと思ってさ』
と綴られたそのメッセージに疑問符が浮かぶ。
あれって何…?
翔ちゃんのメッセージの意図が分からなくてすぐに返信を打ち。
『翔ちゃんも楽しんでる?
てかあれってなんのこと?』
それに対してすぐ既読がついたかと思ったら、急に翔ちゃんからの着信画面に切り替わった。
通話をタップすると屋外に居るらしい大声が耳に突き刺さって。
『おいお前っ!
まだ見てなかったのかよ!』
「ちょ、は?なに?何言って…」
『さっき渡したろ!プレゼント!』
「えっ、あれ?
あぁごめん、まだ見てなかっ、」
『見ろっ!今すぐに!』
なぜか物凄く慌てている翔ちゃんにことごとく話を遮られ、通話したままリュックを開ける。
片手でガサガサと袋を開けて中身を取り出すと、手にしたそれに目が点になった。
『見たか?それ』
「…え、これなに?」
『何ってお前…見りゃ分かんだろっ!』
そう言われて、液体が入った円柱のボトルをくるくると回し見てみる。
……へっ?
「っ、えっ!ちょ、なにこれっ!?」
『ふは、やっと分かったのかよ。
まぁそれでせいぜい頑張れよっ!』
じゃあなと告げて一方的に通話は切られ、しんと静まり返った部屋に引き戻される。
これって…
アレ、だよね…
手中のボトルを見つめて、思わずごくりと喉が鳴った。
