原稿用紙でラブレター
第5章 青いハートに御用心
ちょっと何言って…
ざわざわと歓声の上がる生徒たちの背中越し、信じられないって目を相葉くんに向けると。
なぜかキメた顔でコクリと小さく頷く壇上の相葉くん。
…は?それなんの合図っ!?
一瞬で嫌な予感がして口をぱくぱくさせて懸命に制止を試みても。
俺のこの必死な顔見えてないの?って思うほど無駄にキリっとしたまま教壇に手をついて口を開いた。
「先生は真面目にお付き合いしている人がいます」
「うえーマジかよぉ!えっ、どんな人ですかっ?」
「どんな?って…えっとぉ…」
四方八方から興味津々に飛んでくる質問。
がやがやと騒がしくなった教室の一番後ろで無意味にバクバクと高鳴っていく心臓。
待って待って!
ちょっと相葉くん本気で何言ってんの!?
そんなの真剣に考えなくていいんだって!
「同い年っすか?」
「いや、6つ上かな」
「うっそ、マジ?年上かよー!憧れるー!」
「はいはい!せんせーはその人のどんなところが好きなんですかー!」
一際大きな声で手を挙げた生徒のその質問にぴくっと反応してしまった肩。
誰も後ろの俺のことなんか見ていないのに、急に恥ずかしくなって教科書で顔を隠して気配を消す。
「んー…もういっぱいあって何て言ったらいいかな…」
「もったいぶってないで言ってくださいよー」
「じゃあえっとねぇ、優しくてー可愛くてー料理も上手でー…」
「やっば、超ノロケてるー!」
指を折りながら話しだす相葉くんをどきどきしながらそぉっと覗き見つつ。
本当はすぐにでもこんなこと止めさせるべきなのに、その続きを聞きたくなってしまっているダメな俺。
「でも一番好きなのは…やっぱ笑顔かな」
そう言ってへへっと笑った相葉くんに不覚にもきゅんとしてしまって。
相葉くん…
そんな風に想ってくれてたんだ。
俺の笑顔が…好きって…
もう、恥ずかしいってば…
「ねぇせんせー!彼女って巨乳?」
「えっ?いや…巨乳?ではないけど…」
「はい!彼女サンの体ってどんな感じっすか?」
「え?うーん…」
いや相葉くん、そんなの絶対答えなくていいから。
…ていうか答えるな!
「ん〜…けっこうプニプニしてて気持ち良い」
答えた…