原稿用紙でラブレター
第2章 年上彼氏の攻略法
フワフワとした心地のまま地上へと降り、前を歩く興奮冷めやらぬ様子の松潤に続く。
…待って。
てことは翔ちゃんはもう松潤と…!?
やっべ、完全に先越されたっ…!
そんなことこの間メールした時には一言も言ってなかったくせに!
グルグルそんなことを考えていると、前方のベンチに座ったにのちゃんと翔ちゃんが二人仲良くソフトクリームを食べていて。
「あ、二人だけ何いいもん食べてんだよ」
「いいじゃねぇかよ、こっちはずっと待たされてんだからな!」
『二宮先生におごってもらった』と自慢気に言いつつ、松潤に見せつけるようにソフトクリームを食べる翔ちゃん。
「相葉くんおかえり。楽しかった?」
ベンチにちょこんと座ってソフトクリーム片手にこちらを見上げるにのちゃんを見て、ふいにさっきの松潤の言葉が蘇ってくる。
白い渦状のクリームをぺろっと舐め、ぱくっと食べてむにむにと口を動かすその仕草につい目を奪われてしまって。
ちょっと…やば…
そんな、にのちゃん…!
「あ…食べる?」
ジッと見ていた俺に気付いたにのちゃんが、てっぺんが潰れたそれを差し出してきた。
「ぁ…う、うん」
その問いかけに我に返り、動揺を隠しきれないまま少し屈んでぱくりとそれに齧り付くと。
「…おいしい?」
目線の先に緩く微笑むにのちゃんの顔。
俺だけに向けられてる筈なのに、約束通りさっきよりも控えめなその笑顔に急激に愛しさが込み上げて。
…やばいぞ、俺。
こんなにのちゃんを前にしてあんなこと聞かされて。
我慢できなくなったらどうしよ…!
「ほら、翔も食べなよ」
「いやそれ俺のだから!もー返せよ!」
横でソフトクリームを取り合いながらワイワイしてる翔ちゃん達を見遣って、すでに一線を越えた域に居る二人に静かに尊敬の眼差しを送る。
とにかく、こんなとこでヘンな気分にでもなったらいけない。
今はそんな気持ちは抑えといて、にのちゃんとのデートをめいっぱい楽しもう、うん!
隣でソフトクリームに口をつけるにのちゃんを盗み見ながら、昂りそうな気持ちをぐっと堪えて歩き出した。