原稿用紙でラブレター
第2章 年上彼氏の攻略法
心配って…
有岡のことならもう…
「にのちゃん…?」
「違うの…違うこと、ずっと考えてたから…」
「…うん?」
にのちゃんの言おうとしていることがさっぱり分からなくて、思わず顔を覗き込むように窺ってみる。
ぎゅっと唇を噛んで頬を赤く染めたまま、言葉を探すように視線を彷徨わせていて。
明らかにおかしくなった様子に益々疑問が募る。
膝の上でしっかりと握られた拳にそっと触れてみようとした時、すぅっと息を吸う音の後に空気が動いた。
「相葉くんはっ、その…どう、思ってる…?」
さっきと比べ物にならない声ではっきりと切り出したその問いも、一体何のことを言っているのか分からなくて。
「え、どうって…?」
「あ…その、だから…俺と、どう…」
「にのちゃんと…?なに?」
「えっと…あのね…俺と…」
今までこんなに口ごもったにのちゃんは見たことない。
余程言いにくいことなんだろうけど、その先を言ってくれないと俺も何て答えてあげたらいいか本当に分からないから。
「…にのちゃん大丈夫?無理しなくても、」
「っ、相葉くん!」
これ以上待ってたらにのちゃんの頭から湯気が出そう。
そう思い直して声を掛けると、こちらに顔を上げたにのちゃんが俺の名前を呼んで。
「相葉くんは…
俺と…シたい…?」
至近距離で見上げられ切なげに潤ませた瞳でそう告げられた。
……え?
にのちゃんの言葉をもう一度脳内で再生する。
相葉くんは、俺と、したい?
俺と、したい…
…"シたい?"
って…
…えぇーーーーっ!?
尚も俺を見つめる瞳は不安に満ちて揺れていて。
高鳴る心臓が鼓膜に響いて邪魔をする中、絞り出すように口を開く。
「そ、それって…そのっ」
「……」
「そういうこと、だよね…?」
目が泳いでいるのを自覚しつつ確かめるようにそう問えば。
こくん、と頷いて更に顔を赤くした。
そ、そんなの…
そんなの、そんなのっ…
絶対シたいに決まってるじゃん…!!
まさかにのちゃんからそんなことを言われるなんて夢にも思ってなくて。
この状況がうまく飲み込めず、整理しようとする頭と本能的に動いてしまいそうな野性が喧嘩している。