原稿用紙でラブレター
第2章 年上彼氏の攻略法
その時、ゴンドラの扉がガラッと開いて係員の人から明るい声で降車を促され。
いつの間にか地上に下りていたらしく、突然のことに二人で肩を揺らし、気付いたら何も考えずに口走ってしまっていた。
「…あ、あのっ!コンタクト落としたんでっ…
もう一周いいですかっ?」
そう言って身を乗り出してフリーパスチケットを見せると、係員の人も一瞬慌てたけど『いってらっしゃいませ!』と笑顔で扉を閉めてくれて。
そうしてまた止まることなく動き出したゴンドラ。
ぽかんと口を開け一部始終を見ていたにのちゃんに向き直り、ごほっと咳払いをしてまた隣に座る。
静寂にゴトゴトと響き出す音を聞きながら、咄嗟に作り出したこの状況に今更ながら緊張が高まり出す。
「こんなこと…」
ぽつり発せられた言葉に触れている肩を思わず揺らしてしまい。
そんな俺に、少し体を縮こませながらも静かに続けた。
「こんなこと…考えてるのが恥ずかしくて…
相葉くんに言えなくて…」
小さな体は益々きゅっと丸まって耳まで赤く染まっている。
「相葉くんにね、会うと…なんか、そんなことばっかり考えちゃって、俺…」
そこまで言うと小さくはぁっと息を零して。
「そんな俺のこと知ったら…相葉くんに嫌われるんじゃないかなって…」
その言葉を聞いてふっと顔を上げる。
「そんなことないっ…!
俺も…俺だって、」
眉を下げた瞳が揺れながら俺を見つめる。
「俺も…にのちゃんと、シたいから…」
そう小さく告げれば、目尻が赤く潤んでさぁっと頬が赤く染まった。
「今だって…抑えるのに必死なんだよ…」
自分で言いながら、頭と体がバラバラに動き出そうとしているのが分かる。
それに、内側から込み上げてくる熱ももうごまかしきれない。
…だめだ、もう勝てないかも。
「相葉く、っ…!」
気付いたらにのちゃんの腕を引いて抱き寄せていた。
潰してしまうんじゃないかというほど余裕も無くぎゅっと抱き締める。
ドクドクと伝わる心音は、きっと混ざり合った二人のもの。
頬に触れる柔らかい髪の感触に、ドクンと体の芯が熱くなる。
もっと体で感じたくてより腕に力を込めれば、それに応えるようにそろそろと背中に手が添えられて。