原稿用紙でラブレター
第2章 年上彼氏の攻略法
隙間もないくらい合わさった唇。
突然の勢いに驚いたにのちゃんが体を引こうとするのを、ぐっと後頭部を抱え込んで引き寄せる。
このまま、にのちゃんの全部を奪ってしまいたい。
そんな衝動に駆られ、もう自分を制御できないかもしれないと働かない頭の隅でぼんやり考えていた。
ぎゅっと背中を握る手が強まり一瞬唇を離すと、はぁっと熱い吐息が漏れて。
その吐息すら飲み込むように、すかさず半開きの唇に吸い付く。
「っ!んぅ…」
初めて感じるにのちゃんの熱い口内。
今までの触れるだけのキスとは比べ物にならなくて、艶めかしいその感覚に急激に体の芯が疼き出す。
逃げるように引っ込める舌を誘い出し絡め取れば、漏れてくるのは声にならない声。
その声にも堪らなくなって、思わず抱き締めたまま覆い被さるようになだれ込んだ。
頭を守りつつ、景色を映す窓に手をついて。
衝撃に驚いたにのちゃんが、ぎゅっと背中に腕を回してしがみついてくる。
ようやくそっと唇を離すと、至近距離で息を切らす真っ赤な顔がそこにあって。
潤んだ瞳は揺れて俺だけを映していた。
「はぁっ、あいばく…」
「ごめん…俺、ほんとダメかも…」
その瞳を見た途端、もう何も考えられなくなって。
「…っ!ぁ、ちょっ…!」
後頭部を抱えたまま、首元に顔を寄せて赤く染まった耳たぶに口付けた。
背中のシャツを引っ張られながらも、構わずに耳たぶを撫ぜると。
「ぁっ…いやっ…」
小さく反応したその声があまりに可愛くて、執拗に耳や首筋に唇を寄せる。
静かに動き続けるゴンドラには、俺の荒い息遣いとにのちゃんの抵抗する声だけが響いて。
その合間に漏れてしまうにのちゃんの可愛らしい声が、どうしようもなく興奮を煽ってしまい。
「あいばくん待っ…ぇっ、やだっ…!」
ネルシャツの下のTシャツの裾から手を差し込むと、一際大きな抵抗が聞こえた。
「はぁっ、も、にのちゃ…」
「んっ、だめっ…あいばく、」
さわさわと滑らかな肌をまさぐれば、その度にぴくぴくと小さく跳ねる体をダイレクトに感じる。
その反応全てが堪らなくて、必死に抵抗するにのちゃんをよそに手の動きを止めることはできなくて。