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原稿用紙でラブレター

第3章 消費期限は本日中






ローテーブルに所狭しと並べられた料理に思わず感嘆の声を上げる。


そのどれもが俺の好きな物ばかりで美味しそうに湯気を纏っていて。


「あとこれあっためたら終わりだから。
相葉くん座ってて」


そう言ってキッチンへ戻るにのちゃんの後ろ姿を目で追う。



ていうか…
にのちゃんが俺の為に料理作ってくれたなんて…


こんなに嬉しいことってある?


それに、あのエプロン。


さっきドアを開けた時エプロン姿のにのちゃんが目の前に現れて、一瞬時が止まってしまった。


いつも着てる大きめのパーカーの袖を捲って、真新しいベージュのシンプルなエプロンをつけたにのちゃん。


その可愛らしい姿にたちまち胸がときめいた。


にのちゃんの貴重なエプロン姿を見れただけでも最高なのに、目の前にはこんなに美味しそうな料理もあって。


なんかさ…
俺たち新婚さんみたいじゃん。


ほんとに今日は今までの人生の中で一番の誕生日になりそう。



「相葉くん、これどっか置けそう?」


キッチンからの声に我に返ると、両手にスープの器を持ったにのちゃんから呼び掛けられて。


机上に少しスペースを作って返事をすれば、慎重に器を持ってこちらへ歩いてくるにのちゃん。


集中してるのか口が小さく尖ってて、それがやたら可愛く見えてしまい思わず笑みが溢れる。


すると俺の反応に"ん?"と不思議そうな顔をした後、ハッとしてもぞもぞとエプロンを脱ぎ始めて。



あれっ?



「えっ、脱ぐの?」

「えっ、いや…これがおかしいのかと思って…」


赤い顔でそう言いながら首からするりとエプロンが抜かれた。



あーあ…
もうちょっと見たかったなぁ。


なんて言ったら真っ赤になって『いやです!』とか言われそう。



にのちゃんのエプロン姿を惜しみつつ、それよりも目の前に広がる料理に空腹も限界にきてて。


「ねぇ食べていい?」

「あ、うん。食べよっか」

「いただきまーす!」


両手をパチンと合わせてにのちゃんを見れば、少し照れ臭そうに笑って小さく頷いた。

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