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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第13章 遺された・・・意味

ガタ…ゴト・・・ゴソゴソ



カンナのお母さんが

机の引き出しや…本棚を

次々に開けては

オレの言う∥あれ∥を

一生懸命に探してくれた






『これ・・・かしら?』



『ぇ・・・~じゃなくて、もっと

こう・・・デカイ辞典みたいな』





『辞典~・・・大きい辞典

うーん・・・

だれか貰ってったのかしらねぇ』





少し残念そうになった時




『あ・・・。・・・∥それ∥だ!』




部屋の隅の棚…それも
いちばん目立たない引き出しに

それは・・・ひっそりと
大切そうに入っていた




『医学書~?…あの子…ふふっ

こんなものを・・・?

ふふ・・・こんな所に隠して(笑)

もうちょっとわかる所に置きなさいよね♪

・・・はい、ケイゴくん』



少し埃をはらうように本を撫でて

お母さんは…それを

オレに渡してくれた





『うん・・・確かに…∥これ∥は

あなたが持っているのが一番ね』




『ぁ・・・~…でも、やっぱ

これは・・・マズイですかね』




オレは渡された本を見つめた



『???・・・どうして?』




中々、見つけにくい場所に
ひっそりと…大切にしまってあった
カンナの大切な宝物。

あのカンナが我慢しきれずに
夏休みにバイトして貯めた給料で
買った大切なもの

当時、高校生だったカンナにとって
決して安い買い物ではない事を
オレは知っていたから


せっかく見つけてもらったそれを
そっと、返そうとした


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