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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第18章 弟の・・・覚悟

リョウキが彼女に

恐い思いをさせたいわけでも

傷つけたいわけでもない

そんなことは…誰だってわかること




だけど・・・



当のアイルちゃんは

そのリョウキの記憶がないんだ




『・・・そう・・・かよ』




リョウキは…自分の目で

その現実を見ようとしたのかもしれない




脱力したように彼女からはなれて

無言でドアの方に歩いて来た




・・・ゲッ



と、言いたいとこだけど

逃げるわけにも隠れるわけにも

いかないんだな、これが




ボクは壁に寄りかかったまま

病室から出てきたリョウキに




その背中に声をかける




『ふふっ・・・♪・・・女の子に

しかも・・・ろくに自由に動けない女の子の

寝込みを襲うなんて・・・なかなか

いただけないな・・・お前?(笑)』








ピタリ・・・



止まったその足が動揺した







『チッ・・・~なんでいるんだよ』




リョウキはバツが悪そうに

舌打ちしてボクから目を反らした





『患者の身の安全は守らないと♪』





不可抗力とは言え

そんな場面に出くわすこっちだって

気まずいどころじゃなかったんだからな

(苦笑)





気まずさに加え、下らない説教でも

ダラダラされるとでも思ったのか

リョウキはボクと目を合わせず

背を向けてスタスタと去って行こうとする






『・・・リョウキ♪?』





『・・・るさいな。わかってるよ』





『リョウキ・・・~~』





『兄貴と話すことなんか、もうねぇよ』





・・・ま、そう来るよね







『フゥ・・・リョウキ・・・聞けよ』






『わかったって・・・言ってるだろ』









『・・・時間を・・・くれ』






『・・・?』






『少し・・・時間を…くれないか』






『・・・』





『話は・・・それだけ』

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