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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第18章 弟の・・・覚悟

数年ぶりに会った浅田先生は

相変わらず…だったけど


その中性的な柔らかい雰囲気は

前と変わらないけど


なんだろうね・・・


大きな組織にいる時の

独特の・・・目の奥の・・・孤独

とでも言おうかな


不意に見せる切迫感のようなものが

まったくなくなっていて


心からのびのびとして見えた。





『ふふん♪・・・一人前になったな』




『・・・(苦笑)』



ハナタレ研修医の、まさにその時を知る

先輩や先生は年々減っていく



そんな中で、その当事者の先輩に

改まってそんな事を言われると

どうしようもなく照れくさかった(笑)





『・・・ちっとも…全然

進歩ないままですよオレ・・・』



『・・・?』




『この間も、弟に・・・

∥なんのために医者になったんだ?!∥って

幻滅されたばかりです・・・(苦笑)』





『・・・~。

義理の妹と来ちゃぁね・・・~

色んな意味で…厄介な案件だな?♪』





『・・・こんなことに遭遇するとは

さすがに思いませんでした(笑)』





信頼する先輩

そして何より同業者



ボクは喉元に堪えていた諸々を

ここぞとばかりに洩らしていた。





『脳外科の管轄なら

いつでも引き受けるけどな♪』




『・・・』





『ただ・・・話聞いてると、どうも

俺たちの管轄で・・・

手の打ちようがなさそうな案件だな?』





『・・・』





『その手の専門に強い知り合い

何人か当てがあるから、紹介するよ♪

精神科とか…とにかく尽くせるだけのことは

なんでもやってみてから・・・

諦めるには早すぎるだろ?♪』






『ありがとうございます』





『・・・ふふん♪・・・とか言って

ホントは自分で・・・

なんとかしてやりたいんでしょ滝川?』





浅田先生が…相変わらずの笑顔で

何か見透かすように笑う

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