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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第18章 弟の・・・覚悟

パチパチパチ・・・



『・・・?』


アイルちゃんがこちらを見て

無造作にだけれど…手を叩いて

ぼんやりとリョウキを見ていた



ほんの…一瞬…数秒だったけど




それに気付いたリョウキは

さっさと背を向けて今度こそ立ち去ろうとする





『・・・どしたんだろうな(笑)?』




『フッ・・・』



ポケットに手を入れ直して

リョウキが一瞬だけ笑った





『癖なんだよ・・・アイツの』





『・・・???』





『アイル・・・自分は…マジで

【神領域の運動オンチ】だから

サッカーでもなんでも、中継とか見てると

ボール動いてんの見ると…喜んでさ(笑)

すぐ…ああやって…手ぇ叩くんだよ』





『・・・へぇ♪(笑)』





『今のアイツの

アタマん中が…どうなってんだか

さっぱりわかんねーけどな・・・』




微かに笑って、ため息まじりに言うと

リョウキはもう一度振り向いて

アイルちゃんに・・・ではなく

付き添っているマナサンに

目配せして会釈する




∥よろしくお願いします∥


って合図に



∥了解∥



と、マナサンも頷き返して



リョウキは再び背を向けて

足早に立ち去る




『・・・リョウキ?

とても医者の…言うことじゃないけどさ

医学的根拠も…理屈も説明もつかないけどさ』



『・・・?』




『彼女が・・・お前の記憶だけ

飛んじゃってるのってさ・・・

それだけ…彼女の中で、逆にお前が

記憶の∥強すぎる存在∥だからだったりしてな』




同じように日常に…身近にいながら

自分の事だけを忘れている

そんな大きなショックだって

少なからずあるだろう

そんなリョウキを慰めようとした

そんなんじゃないんだ

ただ・・・なんとなく思ったこと





『・・・』



『・・・ま、独り言だ♪…忘れて』




『・・・~』


リョウキは背を向けたまま

片手を軽く振って去っていった

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