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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第18章 弟の・・・覚悟

アイルちゃんを病室に戻して

ボクは部屋を出ようとするんだけど



『・・・』



意識して見ちゃってるから?

それもあるかもしれないけど

未だ「はい」「いいえ」くらいしか

答えてはくれない


まだまだ心を開いてくれない

そんな彼女の表情は

どうしても気になるのだった



記憶がないから、とか

彼女であって彼女じゃない、とか

なんとかいってしまえばそれまでだけど




『・・・アイルちゃん?♪』



『・・・』



どうしても、その表情が

遠慮がちに…何かを押し込めてるように

見えてしまって




『・・・優しい看護師さんもいるし

呼んで来てあげようか・・・?♪』




『・・・ぇ』




『不安なことも…心配なことも

なんでも話してくれて良いんだよ?♪

ボクに言いにくかったら看護師さんと

お話ししたって良いんだよ?』





『ゎ・・・わたし・・・そんな』



『ふふふ♪』






『・・・ただ』




『・・・?・・・うん?』



ボクは一瞬の隙を逃さぬように

ベッドの脇にしゃがんで目線を下げて

モジモジと手を動かすアイルちゃんに向き合う






『ゎ・・・わたしの・・・名前』




『・・・うん?』




名前・・・?




『・・・みんな・・・わたしのこと

∥カツラギさん∥って…呼ぶから』




アイルちゃんは気まずそうに

手首に巻かれたネームタグを

指差して、訴えかける








『どうして・・・?』









『・・・???』


どうして?・・・とは?





さて・・・?・・・どういうことだ?

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