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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第20章 あの夏の・・・約束

誰にも言わなかった

誰にも見せなかった

ボクの緊張の糸が切れたかのような




無意識に…熱くなる目頭の

じわっとした感覚に

ボクはおもむろにバックミラーを

咄嗟に鷲掴みしてぐにゃりと曲げた




どうにも抑えられない

目から溢れでる涙を・・・



こんな顔をしたボクを

後ろにいる彼女に見せられなかった




『・・・ぁ、すみません

いきなり…ペラペラ喋っちゃって(苦笑)

私の・・・ひとりごとですから

忘れてください・・・先生』





彼女は…明るい優しい声で

サラッとそう言って

窓の外に視線を向けて

知らないふりしてくれてるみたいだった






『・・・っ。

・・・~・・・アオイさん?』





『ご・・・ごめんなさい、先生

本当に…すみません、もう私・・・』







『∥日向ちゃん∥・・・?』






『は・・・はぃ・・・?』








『・・・。・・・ありがとう』




ボクはついにはそちらを振り返れずに

背を向けたまま彼女を車に残して

ドアを閉めた

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