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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第20章 あの夏の・・・約束

『よ・・・。・・・久しぶり』





ボクは・・・久々に

その墓前に立った



∥彼女∥が眠る・・・その場所に。





・・・わかっているけど


話しかけたって


どこにもいなければ


応えてもくれない。



ここに来たことに

深い意味は…あるようで、なかったんだ

本当に…。





ボクはひまわりの花束を

さっさと手向けて墓前に手を合わせると

その場を去ろうとした







『・・・・・・ケイゴくん?』






『・・・?』







え・・・?





思いがけない、ボクを呼ぶ声に

その足はピタリと止まる



こんな場所で


しかもボクをそんな風に呼ぶ人って


一体誰だろう




あらゆる意味で

ドキッとしたような、ギクッとしたような

妙な感覚に陥る








『あの・・・あなた、もしかして

ケイゴくんじゃないの・・・?』






こんな歳になって・・・

ましてボクの職業柄

下の名前で【ケイゴくん】なんて

呼ばれる事って

やたらに・・・と言うか

まず・・・ない




一瞬、誰だろうって焦ったけど

振り向いたその先にいる人を

識別するのに時間はかからなかった







『・・・・・・おばさん・・・?』







『ぁ・・・やっぱり、ケイゴくんね?』





振り向いた先に立っていたのは


彼女の・・・




∥カンナ∥の・・・お母さんだった。

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