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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第20章 あの夏の・・・約束

『ハハハ・・・なんか無我夢中で

気づいたらあっという間に…って

そんな感じですかね・・・(苦笑)』




気まずいことも

おばさんにいらぬ心配をさせることも

たまりにたまりかねて

ボクはそんな言葉でごまかした






『ぁぁ…そうよね

お医者さん…周りが想像するより

大変なことだらけよね

うふふ・・・ごめんなさいね

なんだか懐かしくって・・・

若い子に説教じみたこと言っちゃったわね

おばさん、ただのおばさんになったわね♪』






『・・・~(笑)

のらりくらり…してて

∥アイツ∥に…

笑われてるかも知れないですけどね』






『・・・なに言ってるのよ…ケイゴくん』





『・・・?』





『うふふ・・・そんなことない

そんなこと…絶対ないわよ・・・!

あの子…きっと∥ムコウ∥で…

手がはち切れるほど拍手喝采して

相変わらず…あなたの事を

自慢してるわよ・・・きっと』






『・・・おばさん(苦笑)』






『・・・よく、頑張ったね・・・って

すごいね・・・って』




おばさんが…言葉を詰まらせながら

空を見上げては涙を拭う






『ケイゴくんにはかなわないな・・・♪

すごいな・・・って

∥もう充分だよ∥・・・って

あの子…笑いながら、言うんじゃないかしら』





『・・・っ』



おばさんの笑顔と…涙と・・・その姿



そして


その優しくて重い言葉が


ボクの胸を強く叩いた





『本当に・・・ありがとうねケイゴくん』





『おばさん…オレは・・・』





『ふふ・・・それからね

ケイゴくん・・・あなたの人生が…』





『・・・ぇ』





『あなたが・・・幸せであることが

あの子が…いちばん喜ぶことだと思うから

ケイゴくん・・・幸せに生きてね』




おばさんが涙を拭って

もう一度、優しく微笑んだ





『・・・グスッ・・・ふふ

おばさん?…元気に…長生きしてね♪』




ボクは堅苦しい言葉を飲み込んで

少し子どもの頃に戻ったみたいに

おばさんに笑みを返した




そして・・・深く、一礼して

笑顔で手を振るおばさんに

ゆっくりと背を向けた

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