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ねぇもう嫌・・・

第11章 検査③




背中に金属の冷たい扉を感じる。



逃げよう。どこかのタイミングでこの場から離れよう。



お手洗いに入室して僅か数秒。



既に逃走体勢である私を、先生は全く気にせず、私の肩から鞄を持ち上げた。



「せっかく来たんだし、僕にもお手伝いさせてよ。」



先生が、私の背後にあるフックに鞄を掛ける。



先生の服が私の顔に被って、慌てて目を閉じた。



先生はきっと優しい。



でも、これは、間違っていると思う…




俯くと、じわっと熱い涙が視界を揺らした。


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