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ねぇもう嫌・・・

第12章 検査結果



「歩ける?」



「うん…」



「ゆっくりでいいからね。」



今こうして私と普通に会話していることに、先生は何の違和感も無いのだろうか。



私はさっき、柊先生に…



思い出すと不意に目が熱くなって、慌てて考えることを止めた。



「大丈夫?」



「うん…」



また胸が苦しい。



靴を履き扉に向かうと、先生がドアを開けてくれた。


どうしてか、私は思わず先生を見上げた。



重たい黒髪に、整った顔立ち、



加えてこんなにも紳士な振る舞い。



いつも私を気遣ってくれる。



医師と患者、それも元主治医である。



そんな、そんな訳ない。



廊下に出、他の患者や御家族を目にし、心を改めた。










「行こっか。話聞くだけだし、大丈夫だからね。」



不安そうにする私を、先生は明るく励ましてくれた。



「繋ぐ?」



先生が私に右手を差し出した。



考えるのに0.5秒。



私と先生は手を繋いだ。





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