
ねぇもう嫌・・・
第19章 レントゲン
「ひなちゃん慢性の腎臓病だったんだね。」
「…」
「詳しく言うと水腎症って言うんだけど。」
「少し前の脇腹の痛みは、水腎症によるものなんだ。」
「ちゃんと説明すると…通常排尿で洗い流されるべき雑菌が流れなくて、そこから繁殖して感染して、側腹(ソクフク)部に痛みが生じてしまう…ってこと。」
「…」
佐藤先生の言葉が右から左へ流れてく。
「尿路狭窄の治療もやったんだろうけど、多分完全に治ってないんだ。」
「…」
…本当に、柊先生は罪深いひとだよ。
「治療は置いといて、ひなちゃんにこれから心がけてほしいのは、トイレを我慢しないでトイレの回数を増やすとか、女性器を清潔にする~とか、あとは疲れを溜めないことかな。疲れてると免疫力が落ちて、感染症にかかりやすくなっちゃうからね。」
「…」
…会いたくない。
だけど…
あの白衣姿をもう一度見たい。
あの揺れる髪と、初めてちゃんと聞いた"大人の男の人の声"が忘れられない。
身体も何もかも見られてるけど…
もう見せたくないけど…
柊先生になら妥協することが出来るような気がした。
